福寿草
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12 先日、赤いきれいな献血カードが手元に届いた。初めて献血したあの日のことを思い出し、昨年の十二月十五日の日記をくってみた。「主人と二人とも初めての献血。とてもうれしい。私達の血液が病気で苦しんでいる人のためになるのだもの。これからも健康に気をつけて一年に一度はしよう」と記している。 昨年のちょうど今ごろかしら、近所の奥さんの顔色が悪く「どうされたの」と声をかけると「大変なことになったの。心臓が悪くて手術をしなければいけないの」と不安そうな言葉にびっくりして、いろいろ聞いてみると、たくさんの血液が必要とのこと。その時私の血液がお役に立てばと血液型を聞くと、私と違い「ダメネ」というと、十二月十七日に手術なので、十二月十五日の町の採血日になると型が違っても交換出来るとの話。 では主人も私も使っていただこうといってたところへ「たくさんの人に献血してもらうように」と書いた用紙が、主人が組長をしているのできた。主人は同じ組の人が手術されるのだから、この組から少しでも多くの人に献血していただくようにと回覧としてまわさず、一軒々々を歩いた。帰宅していわく「元気そうに見える人でも、案外何やかやとあって献血できないなあ」。掲載日:1976年(S51)7月29日「泉」・39歳献血

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