福寿草
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31 戦時中、疎開した祖父の家の敷地が広く、富有柿や大きなイチジクの木がありました。イチジクは木からもいですぐ食べるととてもおいしかったのが忘れられません。 二男の夫と結婚し、二人で懸命に働いて土地を購入し家を建てました。いろんな木も植え、イチジクは三年前に、日本産の苗を植栽しました。 昨年はまだ木が小さかったのですが、今年は毎日数個食べられるほどに成長しました。早朝、木からもいで、白い液がしたたるのもかまわず皮をむき口の中へ。冷たく甘くておいしい!。 ところが先日の朝、イチジクの所へ行ってみてビックリ。熟れるのを楽しみにしていた実が七個、無残にも皮だけになっていたのです。 「鳥につつかれたのかな」と夫。早速、二人で物置から目の細かい網を引っ張り出し、木にかぶせました。 「これで安心」と思いきや、翌朝、木の下の方になっていた実が二個食べられており、どうやらキツネの仕業のようです。そこでもう一枚網をかけ、木をぐるぐる巻きにして、“見えない敵”に備える防御網が完成しました。 これで私のイチジクは安泰です。毎朝、網をそっと開けて、おいしく熟した実を食べる幸せを味わっています。掲載日:2005年(H17)11月10日「ちまたの風」・68歳イチジク

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