mukashi1
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10「桃太郎さん、桃太郎さん、もう起きにゃ日が暮れるぞ」 桃太郎は、大きな大あくびをして起き上がった。「ああ、よう寝とった。ありゃ、ほんに(本当に)お天てん道とうさんが、もう西の山に隠りょうる。日が暮れる。みんなは荷ごしらえはできたんか」「もう、とうに(とっくに)荷ごしらえはできたぞ」「そうか。そんなら、わしも荷をこしらえんといけんなあ」 桃太郎は、近くにあった一抱えも二抱えもあるような大きな木の根元に行って、 ジャージャー ジャージャーと、小便をしたそうな──小便をすると土が軟らかくなろう──。 それから、その大きな木を、根元から引き抜いて、担いで家に帰ったと。「お婆さん、木を取ってきたで。どこに置こうかなあ」「木を取ってきたら木小屋(薪をしまう小屋)に置け」「木小屋に置いたら木小屋が壊れる」「そんならカド(外庭)に置け」「カドに置いたらカド端はなが壊れる」「そんなら裏山にでも立て掛けて置け」

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