mukashi1
11/19

11「山に立て掛けたら山が崩れる」「そんなものはいらんから、前の川へ捨てとけ」 桃太郎は、その大きな木を、前の川へ投げ捨てたそうな。 ドサーン あまりにも大きな音がしたので、爺はじっくり、婆はばっくりして、腰を抜かしたそうな。 その大きな音は、遠くまで響いて、お殿様の耳にも届いた。お殿様が驚いて、「いまの大きな音は何なら、調べてこい」と、家来に命令したのじゃ。 家来が調べたところ、桃太郎という子どもが、大きな木を川に投げ捨てた音だと分かったものだから、お殿様に報告した。「そんなに力の強い子どもがおるのか。それなら、近ごろ鬼ケ島から鬼が出てきて悪いことをするから、その桃太郎に退治させえ」 お殿様の命令で、桃太郎は鬼ヶ島に鬼退治に行くことになったそうな。「お爺さん、お婆さん、鬼ヶ島に行くので、弁当をこしらえてくれんさい」「そうか。鬼退治に行くんか。そりゃ弁当をこしらえちゃろう。だが、うちは貧乏で米がな

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です