mukashi2
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16 くさかった──二 なんと昔、あるところに、お爺じいさんとお婆ばあさんがおったそうな。お爺さんは山へ柴しば刈かりに行くし、お婆さんは川へ洗濯に行ったと。 お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から、 ドンブラコッコカッシャンコー ドンブラコッコカッシャンコーいうて、大きな、大きな、大きな芋が流れてきたそうな。うまそうな芋だからお婆さんは拾って帰り、お爺さんと食べようと思って、戸棚の中にしまっておいたと。 ところが、いつまでたっても、お爺さんが帰ってこない。お婆さんは、腹がへったので、芋を焼いて、お爺さんの帰りを待つことにしたそうな。大きな芋だから、小さく切って焼いたところが、よいにおいがして焼けたそうな。それでもお爺さんは帰ってこない。 お婆さんは、〈一切れぐらい食うてもかまわんじゃろう〉と、一切れ食べたそうな。甘くて、ほっぺたが落ちるほどうまい。〈もう一切れぐらい食うてもよかろう〉
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