tsukiyo
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10ごんご通りのひみつ ごんご通りのふしぎ、知ってるかい?知らない。教えようか。 先週の日曜日のことさ。夜中に見たんだよ。ちょっとよっぱらって、ごんご通りの交こうさてん差点に立っていた時のことだよ。赤いてんめつ信号がちかちかしていた。ちょうど、十二時の時計がなり始めた時だったなあ。 大通りのほそう道路が、川になったんだぜ。ほんとなんだってば。川かわはば幅いっぱいに、オレンジ色のさざ波が、大川のほうにむかってさらさらと、流れていたんだよ。「ええっ、うそっ!」 ぼくは自分の目をうたがったよ。でも、目をいくらこすってみても、やっぱり銀色の月の光に、金色とオレンジ色のしまもようのさざ波が、音をたてて流れていたんだから。もうびっくりよ。目をこらしてようく見たら、大きな大きなお魚がいるんだ。オレンジ色と金色のうろこが、きらきらとかがやいていたんだ。 もっとおどろいたことにさ、その魚の口に新あらまきざけ巻鮭みたいに、白いなわをかけてさ、おおぜいの人が、「えいやらさ、えんやらさ」山陽新聞掲載平成十七年(二〇〇五年)四月二十四日(日)

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