tsukiyo
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4ごんご祭まつり ゴロゴロゴロ。 雷かみなりの音。急にあたりが暗くなってきた。(じいちゃんをむかえに行かなくっちゃあ) ゆうきは傘かさをつかむと、むかい原にかけて行った。土橋をわたると、どしゃぶりの雨がやってきた。天から落ちてくる滝たきのよう。水の柱だ。 その水の柱は、どんどんこちらへやってくる。「うわあ、すげえ」 息をのんでみがまえた。 ところがその水柱はゆうきの目の前、一メートルほどの所で、ぴたっととまった。ザーザーという水しぶきの中で音がする。「やあれ引け」ドンドンドン。ピーヒャラピーヒャラ。テンツクテンツク。「ごんご明みょうじんさあまあ神様、ごっけんじゃ」 うす青い雨の柱の中を、黒い大きな山だし車がやってくる。何人もの人影が山車を引いていた。山車の上では、緑色の人影が笛ふえやたいこでおはやしをしていた。山車山陽新聞掲載平成十五年(二〇〇三年)十月二十六日(日)

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