tsukiyo
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5ごんご祭りがゆれるたびに、赤いちょうちんや 花かざりがゆっさゆっさとおどる。 山車を引く先頭のちっちゃな人影と目が合った。まっ黒い瞳ひとみがきらっと光った。緑色のひょうきんな顔。うす緑の水かきのついた指ゆびが、ゆうきをひらひらと手まねいた。 ごんご(河かっぱ童)だ。ごんご祭りだ。うす青い水すいしょう晶のような雨の柱をへだてて、ごんごはにっと笑いかけた。「ごんご明神様、ごっけんじゃ」ピーヒャラピーヒャラ。テンツクテンツク。「そうれ引け」ドンドコドン。 急に、山車は向きをかえた。すごいスピードで帰って行く。どんどん去って行く。ざんざんぶりの雨をつれて。 「やれ、ええおしめりじゃったのう」 田んぼ道をじいちゃんが帰ってきた。稲いなだ田の上を黄こがね金色の風が光った。山車がかけ登って行った二ふたかみさん上山の上に、しゃららんと虹にじの橋が浮きだした。

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